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2016年藤野ぐるっと陶器市レポート

〜陶器市が、全20会場(+ランチ提携4店)に増えていた〜

昨年18ヶ所でぎりぎり廻れた陶器市。

それなのに、どうやら陶器市の盛り上がりは衰えることなく、今年は20ヶ所に増えたうえ、別途ランチ提携店も4店舗あるとのこと! 

ま、廻れるのか、オレ…。緊迫の面持ち(笑)の中、全会場制覇の旅、今年もスタートしました!

ライター 平川まんぼう

龍夢万華鏡工房の一風変わった陶器市

まず向かったのは、陶器市三大秘境会場のひとつ、綱子地区の「一風変わった陶器市」です。この集落で暮らす万華鏡作家・傍嶋飛龍さんのご自宅が会場になっています。

 

「ほかの会場はちゃんとした陶器市だから、ここは変な作家さんばかり集めようと思って(笑)」と傍嶋さん。その言葉どおり、例年ちょっぴり変わった作家さんばかりが集まります。死体にしか見えない地面に転がるオブジェ、光が透ける蛍手という手法の陶器、マッチョ人形が奮闘するおもしろ陶器、そして「1回も描いたことないけど」とぼやく絵描きさんによる「守護霊似顔絵」など、なかなかの曲者ぞろいです。

 

室内の工房では、傍嶋さんの万華鏡展が開かれていました。木工、染色などさまざまな分野で活躍する仲間と始めたアーティスト集団「Pranarian」の作品や、何十万もする大型の陶の作品も展示。多くの人がその世界観に魅せられていました。

 

さらに今年は、傍嶋さんが始めた綱子地区を中心に展開する地域通貨「ゆーる」が100%利用可能! 地域通貨がどのように活用されているのかを、実際の買い物で体験することができました。お金の介在しない形で物の売り買いができる市、まさに新しい市の在り方です。

藤野倶楽部 ― 百笑の台所

毎年、ランチには大混雑となる人気の韓国料理レストラン「百笑の台所」。これまでは店内の常設展のみでしたが、今年はイベントスペース「結びの家」が完成し、そちらで陶器と絵画の展示が行われました。

 

木の香り漂う広々とした空間には、藤野在住だった故・青木亮さんの遺作展、中村藤平さんの陶芸展、そして一條おろちさんや松山しげき/segeさんの絵画、feebeeさんの現代日本画など、藤野に縁のある方々の作品が並んでいました。洗練された静謐な作品が多く、落ち着きのあるギャラリー空間へと仕上がっています。

 

特に青木亮さんの作品を1度に拝見できる貴重な機会とあって、多くの方が故人を偲び、ギャラリーを訪れていました。青木亮さんの奥様も在廊し、お客さんと言葉を交わしています。

 

また、藤野在住の画家、一條おろちさんも在廊。人気の妖怪シリーズのイラストを、子どもたちも興味津々で見つめていました。

 

レストランはお昼前ながら、すでにたくさんのお客さんで賑わっていました。大きな窓から見える新緑の山と青い空の絶景を、ゆったり、じっくりと、味わっているようでした。

藤野芸術の家

正面玄関脇に設置されたテントには、すでに人だかりが。藤野芸術の家では、若手作家の陶器の販売や、芸術の家の工房でつくられた作品の展示販売が行われていました。風鈴や時計、ガラスのコップや七宝焼のアクセサリーなど、涼やかでカラフルな作品が並んでいます。

 

これらの作品は担当の職員がつくったものですが、ほとんどは、施設内の工房で、自分でつくることができるもの。買うだけでなく、つくることも楽しめるというのが、なんだかワクワク感を掻き立てます。

 

また、館内の「音のプロムナード」壁面には「陶器市インフォメーション」として全会場の写真入りパネルが展示されていました。24ヶ所分のパネルがずらりと並ぶと、その賑わいも一目瞭然。足を止め、このあとはどこの会場に行こうかと考えているお客さんの姿も見えました。

ふじのアートヴィレッジ・野山の食堂

駐車場が満杯で入れなかったほど賑わっていた「ふじのアートヴィレッジ」。常設のコンテナショップは、陶器だけでなくガラス作品や木の器、アクセサリーやフェアトレードショップなど、さまざまなジャンルの作品・商品が並んでいました。また「笑花食堂」の屋台が出店していたり、福祉施設「くりのみ学園」が創作タイルの展示販売を行っていたりと、イベントならではのお店もありました。バラエティに富んだお店の数々は、まるでこの会場だけでも、ひとつのクラフト市にやってきたみたい。

 

コンテナショップ前のベンチに座り、ほっとひと息休む人もいれば、楽しそうにひとつひとつのお店を廻る人もいて、つい長居したくなる空間ができあがっていました。

 

ちょうどお昼時だったこともあり、敷地内にあるレストラン「野山の食堂」も大賑わい。通常メニューのピザに加え、陶器市限定の特別メニュー「おとなの陶器市カレー」も用意されていました。いい天気でテラス席が気もちよく、遠くの山々を見つめながらのんびり過ごす人が多かったのが印象的でした。

暮らしの手仕事〜くらして〜

陶器市初参加となる「暮らしの手仕事〜くらして〜」は、ランチ提携店でもある中華料理店「Yamato-Ya」の2階にあります。民家のような階段を上がると、和風モダンな空間に、手づくりの洋服や下着、自然素材でつくられたセレクト商品などが並んでいました。どれも柔らかな素材で心地よく、特に女性は心くすぐられる商品が多かったのではないかと思います。

 

また、各会場に散らばって出店している陶芸家さんの丼展が開催され、中央の大きなテーブルにずらりと並べられていました。さまざまな丼が一堂に介していて、陶器市の個性がここに集まったようです。ほかの作品も見てみたいと思った人にはどこの会場に出店している作家さんか教えてあげるなど、実物を見てどの会場に行くか決められる、ちょっとした陶器市インフォメーションのようになっていました。

 

しかも、この丼を購入して階下の「Yamato-ya」に持っていくと、買ったばかりの器で食事が楽しめるうえ、食事代も500円オフになるというすてきなコラボ企画も用意されていました。実際に購入して食事をされていった方もいるようです。

 

お客さんはひっきりなしにやってくるものの、ゆったりとした時間が流れ、つい長居したくなる「くらして」は、賑やかな陶器市の中の小さなオアシスでした。

 

日だまりの家

今年初参加の「日だまりの家」は名倉地区にある個人宅。名倉地区の4会場はすべて隣接していて一気に廻ることができるため、とても人気で、今年も駐車場待ちの長い列ができていました。

 

森を抜ける砂利道を歩き、左上に伸びる道を登ると「日だまりの家」です。庭先では地元農家さんによるハーブや無農薬野菜の販売が行われていました。

 

室内では、家主が以前に住んでいたというシンガポールの陶芸家の作品展が開かれていました。なんと、この陶器市のためにシンガポールからわざわざ作品をもって来日したのだそうです!

 

重厚感のある大型の作品から陶のアクセサリーまで、さまざまな作品が並んでいます。どれも上品で、かつ存在感がある器ばかり。その中のひとり、Lim Kim Huiさんはシンガポールで暮らす日本人に陶芸を教えているそうで、簡単な日本語での会話をすることができました。

 

お話の中で印象的だったのは「木の葉天目」と呼ばれる技法を使った器です。お茶を入れて光に漉かすと、木の葉の文様がキラキラと光り、まったく違った装いになるのです。陶器の世界、奥が深い…と改めて感じました。

静風舎

日だまりの家から山道を下ると、静風舎の裏手に出ます。なんと広い草原ではひつじがお出迎えしてくれました!子どもたちも大喜びで遊んでいます。

 

1階の庭先では、副島舎人さんと木村崇亮さんのジュエリーデザインユニット「Mabouloff」のアクセサリーや小さなオブジェの展示販売が行われていました。繊細かつ緻密なつくりに、思わず目を凝らして見てしまいます。よく見ると、モードな作品の中に、ユーモアたっぷりの作品も紛れ込んでいました(笑)。

 

2階のギャラリーでは、副島夫妻の白磁展が行われています。例年以上に賑わっていて、すぐには室内に入れず、副島さんにお声をかけるタイミングもなかったほど。「今年はなぜか忙しいですね」と副島さん。ざわめきの中でも凛として静かな佇まいを崩さない白磁器が、その中で存在感を放っていました。

 

毎年、異種のアーティストとのコラボレーションを実施する白磁展ですが、今年は地元・藤野在住のアマチュア画家、倉田明雄さんの絵画が壁面に飾られました。白磁と対をなすように、黒やグレーの深い色合いをベースにした絵画は、アマチュアとは思えないほど目を引き、展示会に花を添えていました。

F’s gallery

静風舎を出てすぐ目の前が「F’s gallery」。まずは広々としたテラスでほっとひと休み。目の前の広葉樹の森が強い陽射しを遮って、ここだけが避暑地のように涼やかです。飲食店はすでに売り切れ状態でしたが、テーブルに座ったり、テラスから足を投げ出したりして、みなさん思い思いに“ひと休み”していました。

 

そのテラスの隅っこでは、いつのまにかミニライブもスタート。入れ替わり立ち替わり、いろいろな人が歌います。ここは大人たちの遊び場。演奏する人も聞く人もみんな楽しそうです。

 

室内に入ると1階には陶器だけでなく、書作品や絵画、アクセサリーなど、さまざまなジャンルのアーティストが出店していました。そこから吹き抜けの上を見上げると、藍染めの布がそよ風に揺られてはためいています。

 

そのまま2階に上がり、昨年同様、清水愛子さんの作品展、およびコレクション展が開催されているお部屋へ。絵画から陶作品、Tシャツまで、ジャンルレスで作品を生み出す愛子さんの世界がぎゅっと詰まった展示となっていました。

FOREST MARKET

F’s galleryの目の前、芝生の広場がFOREST MARKET(フォレストマーケット)の会場です。F’s galleryと差し向かうように、たくさんのお店がテントを張り、お客さんも順繰りに見て廻っています。奥にある飲食ブースは、お昼過ぎということもあってか、すでにほとんどが完売していました。

 

陶器のほか、ガラスや鉄小物、藍染め衣料など、さまざまな作品が並んだマーケットは、見応え充分。人気の作家さんも参加し、陶器市価格として手頃な値段設定のものも多いことから、みなさん、見るだけでなくしっかり買い物も楽しまれているようでした。

 

昨年も見かけたのですが、今年もフォレストマーケットでは、お子さんが「これ欲しい」といって、お母さんに器を買ってもらう姿を見かけました。小さい頃から自分が選んだ器でごはんを食べられるなんて、羨ましいなぁと思います。

 

広い芝生があって走り回ることができ、疲れたらゆっくり休める(F’s gallaryの)テラスもある。だからこそ、ファミリーに人気の会場になっているのだなと改めて思いました。

gallery studio fujino

唯一の北側地域の会場「gallery studio fujino」。川沿いの高台にある古民家を改装したギャラリーは、作品を楽しむだけでなく、環境そのものを味わうことができる、里山ならではの会場です。ハイセンスな古民家空間に並ぶのは、じつに多種多様な作品たち。この空間に並ぶと、なぜか統一感が感じられるのが不思議です。

 

これらの展示は、1週間前の14日から展示会「8」としてすでにスタートしていました。入口にはその1週間をかけて会場で制作し、陶器市当日の朝に完成したという巨大な青竹のかごが話題をさらっていました。

 

母屋だけでなく、庭や蔵、母屋の隅の秘密の小部屋などでも、さまざまな作品の展示・販売が行われていました。また、河原を使った休息処があったり、川を渡る橋が設置されていたりと、粋な演出も。子どもたちも川遊びができて楽しそう。

 

ひとつだけ離れた会場のためか、常に人の動きがあり、ほどよい人出だったというstudio fujino。1日目を締めくくるのにぴったりな、風流な時間と空間が、多くの人を楽しませていました。

アカセクレイワークスタジオ

2日目です。陶器市でも最強の秘境会場といえばもちろん「アカセクレイワークスタジオ」です。藤野でもいちばん端の牧馬集落の、さらに車が入れない奥地にあるため、片道2キロを歩いて会場まで行かなければなりません。もはやちょっとしたハイキングです。

 

途中、渓流沿いの道を歩いていきますが、毎年少しずつ倒木や土砂が増え、川の水量が減っていっているのだそう。「昔は沢から水を引いていたのに、今は水量が減って水道が使えないんです」とオーナーの赤瀬さん。思いがけず、森の環境についても、考えさせられるお散歩タイムとなりました。

 

30分ほど歩いて辿り着いた会場は、360度ぐるりを山に囲まれたスタジオです。オーナーの赤瀬圭子さんのほか、武蔵野美術大学の学生や卒業生、職員さんなどが出店していました。

 

若い感性の溢れるセンスの良い器がたくさん。朝いちばんだったこともあり、お客さんもまだまばらで、作家さんとの会話も楽しめました。苦労して辿り着く会場だからこそ、ここですてきな器と出会ったときの喜びはひとしおです。

 

帰り道、これから会場に向かう人たちと挨拶を交わします。「こんにちは!」「もう少しですよー、頑張って!」「まだまだ半分ぐらいです」。そして見回せば、数軒の民家のほかは、あたり一面大自然。アカセクレイワークスタジオには、足を伸ばした人だけが知る楽しみがいっぱいなのです。

陶釉舎

アカセクレイワークスタジオへの行きがけに、10時前だというのに大混雑している様子をちらっと見ていた「陶釉舎」。どうなったかと恐る恐る覗いてみると、どうやらピークは過ぎたようで、じっくりと作品が見れるまでになっていました。

 

聞いたところによると、初日は大混雑で大変だったとのこと。「このブースにあった器もかなり売れて、元々の3分の1しか残ってません」と店番をしていたうすいちひろさん。今年もたくさんの陶芸家が参加し、バラエティ豊かな作品が揃っていたためか、人気会場のひとつとなったようです。たくさんの作家さんが出店されている会場は、やはり楽しいのだなと思いました。

 

入口から続く通路とテラスは各陶芸家の出店ブースに。室内のギャラリーはオーナーの碓井直弘さんと奥様の吹田千明さん、そして数名の作家さんの展示会場となっていました。外会場は広々してゆとりがありましたが、ギャラリーはひそかに混み合っていて、なかなかじっくり見れなかったほど。見どころがたくさんあり、外会場もギャラリーも、ぐるぐると何周もしてしまいました。

○△ギャラリー

あちこちの会場を巡っていると、初日の○△ギャラリーには大行列ができていたという噂をたくさんの人から聞きました。人気陶芸家・井山三希子さんの作品を求める方々の行列だったそう。行列ができるなんて、陶器市始まって以来じゃないかしら。2日目の朝も行列ができていたので、こちらも陶釉舎同様、おそるおそる覗いてみましたが、すでにピークは去ったあと。ブースにはのんびりムードが漂っていました。

 

昨年同様、玄関前には5人の陶芸家が出店していました。どれも普段使いがしやすそうなシンプルな器ばかり。お値段も陶器市価格でお手頃です。しかしまだお昼前だというのに、商品は残りわずかとなっていました。初日にどれだけ賑わったのかを、ひしひしと感じます。

 

ギャラリーでは5月の企画展「おやつの時間」が開催されていました。おいしいおやつの時間をさらに盛り上げてくれる器を展示しています。丸や四角のシンプルな小皿、おやつに添えるティーカップや湯のみが、まるでひと回り小さい世界の器のようにたくさん並んでいます。私がおやつを食べるならどの器を組み合わせようかと、ついにやにや妄想しました。いろいろな人の組み合わせをぜひ聞いてみたかったです。

高橋安子アトリエ

篠原地区の高台にある陶人形作家・高橋安子さんのオープンハウス。風の吹き抜けるテラスが心地よく、毎年つい高橋さんご夫婦やお客さんと話し込み、長居をしてしまう会場です。

 

まずは展示スペースにもなっているリビングへ。壁に沿って陶人形が配置され、小さな国の物語が展開されています。見ていると、ファンタジーの世界に迷い込んだようで、思わずほっこり。壁にはつよしゆうこさんの銅版画作品も展示されています。絵本も出版されているつよしさんの世界観も陶人形の雰囲気とぴったり合っていました。

 

リビングでは、高橋安子さんと一緒に、たまたまいらっしゃったお客さんと話をして盛り上がりました。都内でたまたま陶器市のチラシを見て、昨年からくるようになったというお客さんで、とても楽しんでくださっているようでした。

 

その後、テラスで安子さんの旦那様、藤野のシンボル「緑のラブレター」の作者でもある造形作家・高橋政行さんともついつい歓談。話はちっとも尽きず、瞬く間に、時間が過ぎていきました。

妙心庵

キムチ屋さん梨泰院の駐車場が会場となる「妙心庵」。広場をぐるりと囲うように設置されたたくさんのテントを、お客さんが楽しそうに巡っています。こちらも出店者の多い大型会場ですが、他会場に比べても個性の強い作家さんが揃っていた印象を受けました。

 

いわゆる普段使いの陶器だけでなく、木の器や多肉植物の鉢植え、モチーフを忠実に再現した陶器まで、ひとひねり効いた作品が多かったのです。つい「これはなんですか?」と聞きたくなる作品が、たくさんありました(笑)。また、今年も木工作家さんの参加が多く、木の器が欲しい方には嬉しい会場となっていました。

 

すでに陶器市も終盤。店頭の商品はどのブースも残り少なくなっていましたが、お客さんが途切れる様子はありません。

 

以前は陶芸家の伊藤泰紀さんが近隣に借りていた古民家を会場にしていましたが、だいぶ古くなったこともあり、数年前からこちらの駐車場スペースで開催しています。その結果、出店者数も増え、若い作家さんも参加して、ますます活気が生まれているなと感じました。

Keramos 7

梨泰院脇の坂道を下ったところにあるのが「Keramos 7」。すぐ脇を清流が流れ、マイナスイオンを感じて思わずほっと深呼吸をしてしまう隠れ家のような会場です。小さなスペースにギュッと人気作家さんの作品が集まっています。

 

毎年出店している竹嶋玲さんや岩本倫子さん、玉置りささん、羽生直記さん、八木厚紀さんのほか、今年は以前に藤野に住んでいた白磁作家の丸山龍一さんとのつながりで、陶芸窯や粘土、釉薬などを販売するシンリュウ株式会社神奈川支店のみなさんも出店してくださいました。いろいろな繋がりから、陶器市も少しずつ広がりを見せています。

 

ブースの奥の建物では西八王子のネパール料理店「カマルの台所」がカレーやタンドリーチキンを販売していました。タンドリーチキンは持ち帰りもできるとあって購入していく方が多かったです。

 

終盤に差し掛かったレポート係の疲労を察してか(笑)、竹嶋玲さんからお疲れさまと1杯の冷たいお茶が出されました。そんな優しさをひしひしと感じながら、火照った身体を冷まし、次の会場へと向かいました。

藤野観光案内所 ふじのね

藤野駅前にある観光案内所「ふじのね」。藤野ではすっかりお馴染みの施設ですが、ここでも陶器市に合わせてアトリエ紡の陶芸展が開催されました。アトリエ紡は、足立貴隆さんと神坂幸恵さんのユニットで、藤野サンヒルズに工房を構えています。

 

独特の模様が入った陶器は、まるで絵画のよう。実用的なのにアートな要素も感じる不思議な作品たちでした。スタッフさんによると、こちらもすでにかなりの点数が売れてしまったあとだったとか。

 

常設のお土産コーナーでも、在住陶芸家の作品をはじめ、さまざまな芸術家の作品や特産品の販売があり、登山帰りや陶器市帰りのお客さんで賑わっていました。

 

会期中、駅前インフォメーションとして目が回る忙しさだったという「ふじのね」。2日間、お疲れさまでした!

カフェレストラン Shu

藤野コミュニティの拠点のひとつ、カフェレストランShu。おいしい食事がいただけるのはもちろんのこと、近年はテラスやショップを使って多数の作家さんが出店するようになり、買い物目当てのお客さんも増えてきました。

 

ショップでは鷹尾葉子さんの陶器と高橋禎彦のガラス作品の販売が行われました。お二方とも人気の作家さんですが、陶器市だけの特別価格で購入できるとあって、ファンの方々は朝いちばんに買いにくるのだそうです。私が伺ったときには(予想はしていましたが)残りは本当にわずか。相変わらずの人気でした。

 

テラスではご近所に住んでいる陶芸家・林正人さんを始め、さまざまな陶芸家の方が出店していました。今年はなんと初日ですべて売り切れてしまった作家さんもいたのだそう。

 

午後の深い時間になってきたからか、店内では疲れた足を休めようとお茶をする人たちが寛いでいました。住宅街の中なのに、周りには緑がいっぱいにあって、まるで避暑地みたいな感覚です。相変わらず居心地のいいShuでした。

工房 艸

カフェレストランShuからてくてく歩いて小道を入ると、ここは藤野か!と思ってしまうほど開けた空間が広がっています。その小道をさらに歩くと見えてくるのが「工房艸(そう)」です。昨年はオープンハウスとして開催しましたが、今年は趣向を変え、庭だけを使って開催されました。工房艸の木下純子さんは柿渋染めのバッグや小物をつくる作家さんです。年齢を問わず使えそうな上品な色合いがすてきな作品ばかりでした。

 

テラスにはどうぶつのオブジェや工業的なモチーフを使った独特な模様の器まで、ユニークな陶器が並べられています。庭の緑も相まって、まるで、小さな都市動物園のように見えました。

 

そして期間中、ひそかに大人気だったのが暑さにぐったりしていた2匹のワンちゃん(笑)。みんなに注目されて、1日中かわいがってもらったのだそうです。

 

休憩スペースでは、1杯1杯ドリップしてくれるコーヒーを飲むこともできました。子どもは緑の中を走り回り、大人はちょっと休憩。そんな光景をいくつも目にすることができました。

おおだ山荘

ラストは今年初参加のおおだ山荘。青田(おおだ)という小さな集落で空き古民家を活用して誕生した、新たなコミュニティスペースです。夕刻が迫っていましたが、まだまだお客さんもいっぱいいて、活気がありました。

 

外の広場では屋台や薫製会のお店が出され、陶器市も終わりが近づいているとあって、すでにほろ酔いの方もちらほらと。片隅にはアロマハンドマッサージのコーナーもありました。

 

その奥、蔵の周辺はアトリエ再生流のブース。藍染めや再生布を使った作品は蔵の雰囲気ともぴったりマッチし、独特の空間を形成していました。途中、外国人の一団がやってきましたが、着物や帯、道着などを再利用した、和のテイスト溢れるジャケットやバッグに興味津々。早速試着して、購入しようかと悩んでいるようでした。

 

一方、母屋では陶芸家の作品を中心とした展示が。玄関から入り、日本家屋らしい続き間を縁側を横断するように見て廻ります。小さなギャラリーが部屋ごとに用意されたかのようにどのブースも個性的。陶器と伝統的な和の空間というのは、不思議とよく似合うのだなと実感しました。土や木、い草など、自然のものからできているからなのでしょうか。

 

駆け巡った2日間20ヶ所(+ランチ提携店4ヶ所)の旅は、夕暮れの縁側でポヤーっとして、終わりました。

ランチ提携店(Yamato-Ya/Sage Café/篠原の里/パン工房アカラナ)

今年は上記20会場に加え、4つの飲食店(及び施設)がランチ提携店として参加してくれました。おいしいごはんは、陶器市に限らずどんなイベントにもなくてはならないものですね。皆様、おいしいごはんをありがとうございました!

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